Vol. 05 / 02 自分の声で歌う | un / bared
2021.11.24 un / bared

Vol. 05 / 02 自分の声で歌う

Haruka Shiine しいねはるか
Haruka Shiine しいねはるか
Haruka Shiine しいねはるか
Haruka Shiine しいねはるか
Haruka Shiine しいねはるか
Haruka Shiine しいねはるか
Haruka Shiine しいねはるか
Haruka Shiine しいねはるか
Haruka Shiine しいねはるか

Model : しいねはるか (https://shiineharuka.wixsite.com/home/)
Photography : 工藤ちひろ
Direction & Text : Nozomi Nobody

 魂の話をひとしきりしたあと、はるかさんに「本を出してみてどうですか」と聞いた。これまでは届かなかったひとたちにも届いて、それだけで一冊の本にできるくらいの何百という面白い感想が届いて、そのやり取りができることが面白い、と話してくれた。そして「自分がだめだとか自分なんかとか言って自分の声で歌わなかったら、それにハモるひとも現れない」だから「自分の声で歌うみたいなのってすごい大切なんだなって思った」と続けた。

 その言葉がわたしの中に強く残って、撮影のときには「自分の声で歌う」について改めてたくさん質問をした。数日後、はるかさんが「自分の声で歌う話、わたしも最近よく考えてていて、最近書いたのでよかったら共有したい!」とインスタグラムのリンクを送ってくれた。その投稿は

 こんなことに関心があるのは自分くらいだろう。と思うことは、よくあった。なんだか変に浮いているような気がして、関心ごとを口に出さないようにしていた。

 にはじまり、

 こんなことに関心があるのは自分くらいだろう。と思うことでも話していきたい。関心がないひとは通り過ぎていく。それはきっと、悲しいことではない。

 さまざまさのひとつとして、自分の声で歌うように生きていけたなら。おのずとリズムの人が現れたり、踊り出す人が現れたり、声が重なる人が現れたりするかもしれない。それぞれが自分の声で歌う。

 と閉じられていた。

 今回の撮影は、これまでずっと一緒に作ってきたともまつが不在だった。わたしにとってそれは挑戦だった。そしてそれは撮影を引き受けてくれたちーちゃんにとっても、写真に写るのが苦手だと言っていたはるかさんにとってもきっと同じだった。わたしはふたりに対し、なるべく遠慮したりせず、なるべく丁寧に自分の想いや考え、イメージを伝えようと決め、言葉を重ねた。そしてふたりも、こちらがびっくりするくらい、本当に一生懸命に向き合ってくれた。そうしてとてもいいものが撮れた。安堵と同時に誇らしさが込み上げてきて胸がいっぱいになった。

 最近、友達が主催する対話の会に何度か参加した。その会では、その対話の場が「安心・安全であること」が前提とされていて、「相手の意見を批判せず尊重する」「話し終わるまで聞く」「とにかく伝えてみる、聞いてみる」など、いくつかのルールが設けられている。お互いを尊重し合って、正しいも間違いもなく、それぞれの想いや考えを交換し合うための場だということが全員に共有されている。
 その場では、話すのが苦手なはずのわたしの口から、まとまらないままの想いがまっさらなままちゃんと言葉になって外に出てきた。「安心・安全である」ということはこんなにも自分の思考や言動に大きく作用するものなのかと、とても驚いた。それは充実感と喜びを伴う発見だったけれど、日頃いかに「安心・安全」を感じられていないかというということの裏返しでもあった。

 どうしたらそういう安心や安全をちゃんと感じられる、自分自身でいることが当たり前に受け入れてもらえる、受け入れてもらえると信じられる場所を増やせるのだろう。そういうことをぼんやりと考えていた。

 01を公開したあと、はるかさんが「アンサーソング」といってインスタグラムに文章を書いてくれた。そこには

 わたしたちは初めて三人で力を合わせた。それぞれに静かに集中する。持ち場をそれぞれに、という感じがとてもよかった。

 とあった。「力を合わせる」という表現が、はるかさんらしくてとてもいいなと思った。

 わたしがふたりの前でしたことはきっと、自分の声で歌うことだった。そしてふたりも、それぞれの声で歌ってそれに応えてくれた。だからわたしたちは三人で響き合い、ひとつのものを作ることができた。「自分の声で歌わなかったら、それにハモるひとも現れない。」はるかさんの言う通りだなと思う。

 勇気を出して自分の声で歌ってみてよかった、と思う。と同時に、ふたりがわたしを歌わせてくれたのだな、とも思う。このひとたちの前でなら自分の声で歌っても、笑われたり馬鹿にされたりせずちゃんと受け止めてもらえるだろうという無言の信頼があった。だからわたしは自分の声で歌う勇気を持つことができたし、その勇気を持ちたいと思えた。

 お互いに無理なく、それぞれに立つ、委ねる、そのひととして存在する。

 きっとわたしたちはこれからも、へんなふうにつるんだりはできないだろう。個々を生きるうえで、スムーズにいかないこともあるだろう。そしてどうしようもなく、自分の言葉でしか話すことができないだろう。

 でもきっとそれでよくて、わたしはそれがいい。

 はるかさんのアンサーソングの締めくくり。そうしてわたしはまた少し、自分の声で歌うための勇気をもらい、少しずつ勇気を与える側にもなれたらいいな、ということを思いながら何度も何度もキーボードを叩く。

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