とどのつまり美味しいものを美味しく食べられたらそれでひとまずは幸せ、ということなのかもしれません。
お通夜とお葬式のあいだ、わたしはごはんのことを考えていました。
祖母が焼いてくれたのにとてもよく似た豆餅も入っていて、わたしはそれを懐かしい気持ちでいただいて、すぐそばにはすやすや眠る産まれたばかりの小さな命があり、あぁ繋がっている、巡っている、とひとり感慨深い気持ちになりました。
いつもきっとどこかに帰る場所がある、ということだけは、ふわふわ漂うわたしの胸にちいさく灯りをともすのです。
どんなに喧嘩をして相手を憎らしく思っていても、同じテーブルで同じ美味しいものを食べていると人間って怒った気持ちのままではいられないのですよね。
わたしもカツ丼、もといとんかつ、もといあげものが大好きです。でも長かったひとり暮らしの間には殆ど作りませんでした。小さい頃はあげもの作りのお手伝いが大好きだったのに。
わたしは間髪入れずに「カツ丼がいい!」と言ったのです。わたしが好きなのは豚カツではなくカツ丼だったのです。
ああそういえば、ずいぶん長らくハヤシライスを食べていない。だけどわたしには、ハヤシライスが特別な好物だった時期がありました。